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噛み合わせ

全身の様々な異常を引き起こすかみ合わせ

噛み合わせがなぜ重要なのか

歯は、単に食べ物を噛み砕くだけの道具ではありません。

歯は、咀嚼(そしゃく)器官の一部として、全身の健康に非常に深く関わっているのです。 
下顎を閉じると、上下の歯がカチンと当たります。この上下の歯の当たりを「噛み合わせ」と呼んでいます。
下顎は、耳の前方約1cmのところにある顎関節を介して、頭蓋の骨にぶら下がっています。

通常、食事や嚥下、会話の時などに上下の歯が触れたり当たったりしますが、それは1日24時間の中でわずか30分ほどに過ぎません。

ところが、この噛み合わせに不具合があると、正しく噛むことができず、無意識のうちに下顎をずらして噛むようになります。

この下顎のずれは、顎関節に異常をきたし、開口時に口が開きにくくなったり、痛みを生じたり、あるいは音を生じたりするようになります。このような症状を「顎関節症」と呼んでいます。

また、噛み合わせのずれは、咬筋や側頭筋などの咀嚼筋や頸部の筋肉に過度な緊張を与え、血流を悪くします。
血流が悪くなると、筋肉の内部で疲労物質や老廃物が滞り、やがてコリを生じるようになります。
噛み合わせが悪い方には、首こりや肩こり、頭痛などの症状をお持ちの方がほとんどです。

原因のはっきりしない首こりや肩こり、頭痛などでお困りの方は、歯の噛み合わせ異常を疑う必要があるでしょう。

噛み合わせと歯周病

歯の噛み合わせが悪いと、その歯には絶えず外傷的な力が作用します。

この歯にとって過大な力は、歯そのものにはもちろんのこと、歯槽骨をはじめとした歯周組織に大きなダメージをもたらします。
人は、1回の食事で数百回も咀嚼します。噛み合わせが悪いと、そのたびに歯には過剰な力が加わり続けることになります。
すると、歯が割れたり、歯根を支える歯槽骨が溶けて歯がぐらつき、噛めなくなります。
これを「咬合性外傷」と呼びます。

一般に、歯周病と呼ばれている多くのケースは、実はこの咬合性外傷であることがほとんどです。
体質的な歯周病や、生活習慣由来の歯周病の場合には、通常、歯槽骨はほぼすべての歯に渡って同等に溶けます。

これは、全身の免疫力、抵抗力の低下によって起こるためです。
ところが、歯がぐらついて噛めないと来院される患者さんの多くは、1~数本の歯に限局して歯槽骨が溶けています。

これは、その原因が全身的な素因によるものではなく、歯槽骨が溶けている局所にあることを意味しています。
つまり、歯の噛み合わせによる外傷力が、歯槽骨を溶かしているのです。

このような咬合性外傷の治療や予防においては、ただ歯を掃除したり、手術をするだけでは、歯槽骨の吸収を抑えたり、歯槽骨を再生させたりすることは出来ません。
歯槽骨の破壊の原因になっている根本的な原因、つまり歯の噛み合わせを正しく調整する「咬合調整」を行う必要があります。

補綴物と噛み合わせ

歯の治療では、虫歯で溶けてしまった歯の部分や、抜歯によって無くなった歯を、金属やセラミックス、レジン(プラスチック)あるいは入れ歯などで補います。歯の噛み合わせは、その高さが「高い」場合にはかなりの違和感があります。
例えば、髪の毛一本、紙切れ一枚程度の厚みでも識別できるほど感覚が鋭敏です。髪の毛は数十ミクロンという極めて微細な厚みで、噛み合わせの精度はこれよりもさらに繊細です。
ところが、治療した歯の噛み合わせの高さが「低い」場合には、治療時には違和感がありません。
しかしながら、実際に食事をしてみるとよく噛めないため、咀嚼筋が疲労を起こし、首こりや肩こり、頭痛などの体調不良を引き起こしている例が多く見られます。特に、ブリッジなどのように多数歯の治療を一度に行った場合に不具合を訴える方が多くみられます。
歯の噛み合わせは、歯科治療によって良くも悪くもなるので、治療に際して細心の注意が必要です。

歯列不正と噛み合わせ

歯列不正は、決して見た目だけの問題ではありません。
歯列不正がある場合には、大なり小なり噛み合わせに問題があるとみてよいでしょう。
歯の噛み合わせは、歯並びによって大きく影響を受けます。時には、たった1本の歯の歯列不正であっても下顎のずれを引き起こし、顎関節症になったり、首こり、肩こり、頭痛などの不定愁訴の原因になることも決して珍しくはありません。
特に、噛み合わせが低くて下顎の前歯が見えない過蓋咬合(かがいこうごう)や、反対に噛み合わせが高すぎて前歯が噛まない開咬(オープンバイト)の人は、実にさまざまな体調不良を訴えます。このような方は、歯列矯正によって正常な噛み合わせになると、それまで悩まされていた不調の多くが改善することに驚きます。
歯列不正があって体調不良を抱えている方は、是非一度、噛み合わせの診査をお受けいただくことをお勧め致します。

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