根管治療とは、歯根の中にある神経の管の治療のことを指します。
通常、虫歯が深くなり、しみたり痛みを生じる場合に、これらの症状を取るために行われる治療です。
したがって、歯に大きな虫歯があり虫歯を削った結果、歯の神経まで虫歯が到達していた場合には、虫歯治療の延長線上にあるこの根管治療を行うこととなります。
レントゲン診査などの術前診査で虫歯が深い場合には、あらかじめ根管治療(歯の神経を取ること)の必要性を説明してもらえるはずです。
もし、根管治療が必要であると判断されたならば、安易に近くの便利な歯医者で治療を済ませようとするのは得策ではありません。
なぜか?
それは、根管治療は非常に難易度の高い治療であるからです。
治療前のレントゲン写真。根管治療が不十分なため、根尖部(歯根の先端)の骨が溶け、レントゲン像で黒く透過しているのが分かる。歯茎の腫れや咬合痛がある。
根管充填後のレントゲン写真。歯根の先端まで真っ白く緊密に根管充填(薬を詰めること)されているのが分かる。このようにきちんと薬が詰められていることはほとんどない。
治療後1年6か月。根尖部にあったレントゲン透過像(黒い透過像)が消失し、骨が再生しているのが分かる。これで抜歯は回避された。きちんと治療をするためには、やはり時間やコストがかかる。
例えば、皆さんは難易度の高い治療、例えば癌の手術などを、十分な下調べをすることなく近所の病院でお受けになりますか?
答えは「No」のはずです。
では、なぜ歯の治療の中でも最も難しい治療である根管治療は、近くの夜遅くまでやっている便利な歯医者で治療をお受けになるのでしょうか?
根管治療は、歯の治療の基礎工事となるものであり、ここをきちんと治療をしてから歯を被せたりしないと、後々歯の中から腐敗して痛みや歯茎の腫れを生じ、やがて抜歯に至ります。
抜歯は、当然ながら、歯にとっては死を意味します。
歯は、皆さんにとってそれほど価値のないものなのでしょうか?
価値観は人それぞれなので、歯の一本二本無くても構わないという人もいるかもしれません。
でも、当院では、歯や咀嚼機能は、健康的な人生を歩むうえで非常に重要な役割を果たしていると考えております。
ですから、たとえ一本の歯であろうとも、簡単に抜いたり削ったり神経を取ったりすることはしません。
そして、そのような価値観を患者様と共有し、最善の医療を提供したいと考えております。
当院では、一日に多くの患者様を診ることは出来ませんが、歯と健康を大切されたい患者様とより良い医療および医療活動を育んで参りたいと考えております。
どうか、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック日付: 2020年3月18日 カテゴリ:コラム, 根管治療