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神田デンタルケアクリニックからのお知らせ

根尖病巣による歯茎の腫れと、不適合なセラミッククラウンによる歯茎の腫れ~歯の中も外も、きちんと治療しないと歯茎が腫れる!~

歯の内部の治療がきちんとしてあれば、被せてある歯もきちんと治療してあるものです(被せ物の適合や噛み合わせなど)。

反対に、被せ物を高価なもので(セラミック等)で被せてあっても、歯の内部がきちんと治療されていないものはよく見受けられます。

実際には、歯の内部がきちんと治療されていないために、歯茎が腫れてくるケースが非常に多いのです。

実際の治療例を見てみましょう。

 

初診時口腔内。上顎前歯の歯茎の出血と腫れを主訴に来院。前歯4本には3年ほど前に治療したセラミッククラウンが装着してあった。左側(向かって右)の2番の上部には、根尖病巣が原因と思われるフィステル(瘻孔;ろうこう、膿の出口)が認められた。セラミッククラウンの縁の歯茎にも炎症があり、しばしば出血を起こすと訴える。

 

上顎左側(向かって右)2番の根管治療不良による根尖病巣によるフィステル(矢印)。原因は、根管の中のバクテリアや腐敗物質が原因であるため、根管治療を正しくやり直す必要がある。フィステルの原因となる根尖病巣は自然治癒することはなく、放置すればやがて大きくなり抜歯に至る。

 

根管治療を精密に行い、ブラッシング指導をしっかりと行って歯肉炎を改善したうえで、オールセラミッククラウンを被せた。歯茎の炎症は収まり、腫れていた歯茎と出血は改善した。わずか数年で治療をやり替えなければならないのは、患者さんにとって様々な負担を強いる。

 

精密な根管治療を根気よく行うことで、フィステルは完全に消失する(矢印)。

 

歯肉圧排、シリコンでの精密印象を行うことで、極めて適合性の高いセラミッククラウンを装着することが出来る。適合性の悪い被せ物は、歯茎の炎症や虫歯を惹起してしまう。良い治療結果を永く保つためには、手技の一つ一つを妥協なく行うことが重要。

 

歯の治療で肝心なのは、実は被せ物よりも、歯の内部の治療、すなわち根管治療がきちんとしてあるかどうかということです。

被せ物をいくら高価なセラミックで被せても、内部が腐敗していれば、いずれその腐敗は進行し、痛みや歯茎の腫れを生じてしまいます。

こうなると、被せたものがいくら高価であっても、壊して外さざるを得なくなるのです。

もちろん、骨の中に生じた根尖病巣のバクテリアは歯性病巣感染の原因となり、動脈硬化をはじめとした全身の病気の原因にもなります。

したがって、歯の治療は、見えないところの治療が最も重要といえるでしょう。

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治療費:オールセラミッククラウン 1本¥132,000(税込み)

コア 1本¥ 22,000(税込み)

精密根管治療 前歯 1本¥55,000(税込み)

治療におけるリスク:根管治療の治癒率は必ずしも100%ではございません。治療後は、正しくセルフケアをしないと虫歯や歯周病を生じる可能性がございます。

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 審美歯科

根管治療で分かる歯科医師の技量とモラル

現在、歯科医師は大学を卒業して国家試験に合格すると、厚生労働省の指定する臨床研修施設で1年間の研修が義務付けられています。

私が卒業した当時は、歯科医師のライセンスを取得すると、すぐに患者さんの治療をすることが出来ました。

しかし、卒直後の若い歯科医師にきちんととした治療が出来るはずもなく、治療説明も十分には出来ませんでした。

より高度な治療がしたいと思い、当時自由診療だけしかしていない歯科医院に勤務させていただきました。

その歯科医院では、多少の臨床経験があっても新卒と同様の待遇(治療はさせてもらえない)でしたし、指導は厳しいといわれました。それでも指導について来れるかと問われたのを、今でもはっきりと覚えています。

しかし、とにかく正しい治療を勉強したい一心で、その歯科医院の門を叩きました。

診療時は、とにかく院長先生の治療をへばりつくように近くで見学し、診療時間後には毎日深夜まで抜去歯牙を使って歯を削ったり、根管治療の練習をしていました。

今思えば、院長先生の周りを常に若い歯科医師が2~3人、歯科衛生士や歯科助手が2~3人取り巻いて見学していたので、患者さんもさぞ驚いたことでしょう。

それが可能だったのも、すべては患者さんの院長先生への絶大な信頼とカリスマ性によるものでした。

この日々が非常に充実していて、とても楽しかったのを覚えています。

 

ここでの治療で一番力を入れていたのは根管治療でした。

全ての歯の治療のメルクマールとなるのが根管治療で、これがきちんと出来れば他の治療も問題なく出来るという考えに基づいていました。

日夜、抜去歯牙を使って根管治療の練習をしては、レントゲンを撮って院長先生に見てもらい、厳しく指導をしていただきました。

それから20年以上経った今でも、ここでの根管治療に対する真摯な考えが、現在の診療の礎となっています。

「自分の家族にしても大丈夫な治療をしなさい!」

これが、私が勤務時に院長先生から言われた言葉であり、自分のした治療に納得がいかなければ、治療のやり直しをさせていただくこともありましたが(もちろん費用を頂かずに)、それを咎められたことは一度もありませんでした。

 

根管治療は、治療に要する手間や難易度の割に診療報酬が低く、保健診療において不採算部門の代表格となっています。

しかしながら、根管治療をきちんと行わなければ、いずれ歯根の先端に炎症を起こし、根尖病巣を生じてしまいます。

根尖病巣は無自覚のうちに大きくなることが多く、放置すれば歯は抜歯を余儀なくされます。

したがって、根管治療は歯を救う手段として極めて重要な治療なのです。

根管治療をしっかりと行えば、治療に時間がかかり経営を圧迫しますが、治療した歯は快適に長く機能することが出来ます。

ここに、歯科医師の技量とモラルの両方を見て取ることが出来ると教育されてきましたし、現在でもその思いに変わりはありません。

ですから、良くない根管治療を見るとすごく気分が悪くなるのです。

 

上顎前歯の初診時レントゲン。補綴(ほてつ;被せ物)が入っているが、根管には薬が全く見られず、根尖部には根尖病巣による黒いレントゲン透過像を認める。根管内部が腐敗していることは容易に推察される。患者さんのことを考えると心が痛む。

 

治療中のレントゲン。根管内にファイル(治療用の細い器具)を挿入し、根管の長さと走行を確認する。

 

根管充填後レントゲン。歯根の先端まで白い薬がしっかりと詰まっているのが分かる。根管治療が正しく行われれば、徐々に根尖部の破壊された骨は再生し、根尖病巣は治癒する。

 

根管治療は、患者さんが直接肉眼で確認できず、不具合も治療後すぐには表れないことが多いため、患者さん自身が治療の良否を判断することが非常に難しい治療です。

だからこそ、歯科医師の技量とモラルが問われる治療なのです。

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神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 根管治療

大きな根尖病巣でも、適切な根管治療を行えば治る!

歯科治療で頻度の高い根管治療。

根管治療は、歯の内部の、もともと神経のあった部分の治療のことを指します。

虫歯で痛みを生じるようになると、この神経を取らなければ痛みが取れません。

したがって、根管治療は虫歯治療の延長線上にあり、歯科治療の中ではとても頻度の高い治療です。

 

この根管治療は非常に繊細で難しい治療です。

歯の根っこである歯根の中には、もともと神経が入っている根管と呼ばれる管があります。

この根管は非常に細く、そしてしばしば湾曲しているため、きわめて繊細な手技が求められます。

治療に繊細さが欠けると、器具の破折を起こしたり、歯根に穴をあけたり(パーフォレーション)してしまうのです。

また、根管の内部をしっかりと清掃・消毒をし、隙間なく緊密に薬を詰めないと、後々内部で腐敗を起こし、歯根の先端に炎症を生じてしまいます(根尖病巣)。

 

初診時レントゲン。根管治療をしてクラウンを被せてあるものの、根管治療が正しく行われていないために歯根の先端部の骨が溶け、根尖病巣を生じている(黒い部分)。

 

根管の中にファイルと呼ばれる器具を挿入し、根管の長さと方向を確認しているところ。歯根の先端で器具がぴったりと止まっていることが分かる。

 

根管充填後。白いのが根管充填材(薬)。歯根の先端までしっかりと薬が詰まっているのが分かる。根管内部が適切に清掃・消毒され、隙間なく薬が詰められれば、ほとんどの根尖病巣は自然治癒する。抗生剤の内服だけでは、根尖病巣は根本的に治癒はしない。

 

根管治療5か月後、治療終了時。歯根の先端にあった黒いレントゲン透過像は完全に消失し、根尖病巣は治癒した。

 

根尖病巣が出来ているということは、被せてあったり、詰めてある歯の内部が腐敗していることを意味しています。

これを放置すると、根尖病巣が大きくなることはもちろん、歯の内部から虫歯が進行していずれ歯がダメになります。

したがって、痛みや歯茎の腫れが無かったとしても、根尖病巣のある歯は根管治療を正しくやり直す必要があるのです。

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日付:  カテゴリ:コラム, 根管治療

歯が原因の上顎洞炎(歯性上顎洞炎)

上顎臼歯部の上部には、上顎洞(じょうがくどう)と呼ばれる副鼻腔(鼻腔とつながる空洞)が存在します。

上顎臼歯に炎症が生じると、すぐ上方にある上顎洞に炎症が波及し、歯が原因の歯性上顎洞炎を継発することがあります。

上顎臼歯の炎症には、歯周病や歯根破折、虫歯に継発した歯髄壊死、根管治療の不良による根尖病巣などがあります。

いずれも、上顎洞の中にまで歯の炎症が波及すると、鼻閉、鼻汁、頭痛、頭重感、眼痛、頬部痛、噛むと痛い、振動で歯が響くなどの症状を生じます。

上顎臼歯部のCT画像。上顎第二大臼歯の歯髄壊死が原因の歯性上顎洞炎を認める。矢印の白くなっている部分が炎症部。

根管治療前の上顎第二大臼歯の根尖部。根尖部の炎症により骨が溶け、根尖と上顎洞の交通が見られる。上顎洞内には明らかな白い病変が見られる(矢印)。

 

上顎第二大臼歯の根管治療を行った。適切な根管治療を行うことで、根尖病巣は治癒し、上顎洞炎も顕著に改善しているのが分かる(矢印)。

根管治療後、補綴(ほてつ;被せる処置)を行った。根尖病巣は治癒し、上顎洞内部の白い病変が消失しているのが分かる(矢印)。

 

鼻閉や鼻汁、頬部痛、眼痛、咬合痛などで耳鼻科を受診すると、歯が原因といわれることが少なくありません。

反対に、上顎の奥歯に痛みがあって歯科を受診すると、鼻が(上顎洞)原因なので耳鼻科を受診するように説明することがあります。

上顎臼歯部は、歯科と耳鼻科の領域が重なっていることから、このようなことが生じます。

鼻が原因の時に歯を治療してはいけませんし、歯が原因なのに鼻の治療(多くは投薬)をしても根本解決にはなりません。

したがって、この部位は特に診断が重要なのです。

CTによる診査は必須でしょう。

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神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 根管治療

埋まっている親知らずを歯列矯正で引っ張る治療法

現代人の多くの親知らずは、歯の大型化と顎骨の狭小化によって、正常に萌出できなくなっています。

したがって、何か理由が無ければ、基本的には抜歯が適応になることが多いでしょう。

ところが、この親知らずの手前の第二大臼歯が虫歯などで保存が難しい場合、この第二大臼歯に代わって親知らずを代用できる可能性があります。

具体的には、親知らずを開窓して(歯茎や骨から出すこと)矯正装置を取り付け、矯正力によって骨の中から牽引し(引っ張りだし)、歯列の中に正常に並べるのです。

この際、真横になっている親知らずは牽引することが難しいので、適応にはなりません。

 

初診時レントゲン。骨に達する深い虫歯のため保存不可能となった右側下顎第二大臼歯(向かって左;矢印)。奥には、親知らずが埋伏している。このように親知らずが上を向いている場合には、矯正治療で親知らずを牽引して代用できる可能性がある。親知らずを外科的に再植する方法もあるが、この場合には歯の神経を取る(根管治療)必要がある。

 

矯正治療前口腔内。前歯部が全く噛んでいないオープンバイト(開咬)とクラウディング(叢生)。左側の臼歯部の噛み合わせが交差咬合になっており、下顎の左側(向かって右)への偏位を認める。問題点が非常に多い歯並びであることが分かる。

 

上顎咬合面。顎骨に対して歯が大きく、前歯部のクラウディングが強い。

 

下顎咬合面。下顎第二大臼歯は、深い虫歯で保存不可能のため、抜歯となった(矢印)。

 

右側方。臼歯部(奥歯)は噛んでいるが、前歯部は離開しているのが分かる。

 

左側方。臼歯部が上下反対に噛んでいる交差咬合を呈する。

 

埋まっていた親知らずを開窓し、ブラケットを装着して牽引をしているところ(矢印)。下顎は顎骨が硬いため、牽引には時間がかかる。

 

親知らずを牽引しているところ。過大な矯正力は副作用も大きいため、適正な力で徐々に牽引していく。

 

矯正治療終了後。抜歯をした第二大臼歯の部位に、開窓・牽引した親知らずがきちんと並んでいるのが分かる。再植では歯の神経を残すことは出来ず、神経を取る必要があるのに対し、矯正治療の場合には歯を健康なままで温存できる。歯の寿命において、この差は非常に大きい。

 

矯正治療後正面。前歯部のオープンバイトは改善し、美しい歯並びになった。下顎の偏位も改善し、上下の正中(真ん中)も一致しているのが分かる。

 

治療後上顎咬合面。歯列は側方に拡大され、非抜歯で前歯部のクラウディングも改善された。

 

治療後下顎咬合面。抜歯された右側第二大臼歯の代わりに、開窓・牽引した親知らずが配列しているのが分かる(矢印)。牽引した親知らずが正しい位置に配列することで、噛み合わせにきちんと参加できることが重要。

 

治療後右側方。オープンバイトが改善し、機能的、審美的な歯並びになった。

 

治療後左側方。下顎の偏位の原因となっていた臼歯部のクロスバイトが改善しているのが分かる。

 

残っていると、ほとんど害にしかならない親知らずでも、状況次第では活用することが可能です。

第二大臼歯が保存不可能な場合には、インプラントや延長ブリッジ、義歯(入れ歯)など、他にもいろいろな治療法が考えられます。

治療法によって治療期間や治療費用は異なりますし、それぞれの治療法のメリット・デメリットを比較検討の上、治療方針を決定していくのが良いでしょう。

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神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 矯正歯科

我が国の歯の保険治療は、質が問われないから歯がダメになる!~患者さん自身が治療を評価するべき~

我が国は、皆健康保険制度があるため、健康保険料を支払っていれば誰でも1~3割、あるいは自己負担なしで治療を受けることが出来ます。

ひと月に高額な医療費がかかる場合には、高額療養費制度によって一定の限度額以上は払い戻しを受けることが可能です。

この皆健康保険制度は、ある意味で非常に優れた制度で、誰でも安心して治療を受けることができます。

相互扶助の理念のもと、国民がお互いを助け合って医療費を負担し合い、難病の治療や高度な医療、高価な医薬品を利用しても、少ない負担で治療を受けることが出来ます。

 

ところで、医療は、その性質上、治療をすれば必ずしも病気や症状が治ることを保証するすることはできません。

例えば、がんの治療で手術をする場合でも、がんが治ることを確約することはできません。

手術によって、がんを完全に取り除けたとしても、転移している可能性もあれば、再発する可能性もあります。

医師は、最善を尽くして治療をしてくださると思いますが、治ることを保証することはできないのです。

患者にできることは、技術のある信頼できる医師に手術を任せることだけです。

 

一方で、歯科治療が必要な病気のほとんどは、命に関わるような病気ではありません。

このためか、医科に比べると歯科のモラルは未成熟であるように思います。

また、皆健康保険制度での歯科治療の評価は非常に低く、「この治療がこの点数か?」と思うことはしばしばです。これは、ほとんどの歯科医師が感じていることだと思います。

その代表格が、根管治療です。

 

根管治療は、歯の根の中の治療で、歯の治療の中では非常に頻度の高い治療です。

虫歯で歯がしみたり痛くなると、歯の神経を取る処置をします。

これが根管治療ですが、実は根管治療は歯科治療の中でも最も難しい治療のひとつです。

しかしながら、根管治療の健康保険制度での評価は、治療の内容に対して非常に低いと言わざるをえません。

このことを理解している患者さんはほとんどいません。

実際、根管治療の不良や失敗は多く、これが歯を失う原因となっています。

 

医院の経営のことは患者さんには全く関係ありませんが、現実問題として、歯科の保険治療は数をこなして点数を上げなければ、経営が成り立たないのです。

治療の内容(質)が良くても悪くても、与えられる保険点数はまったく同じという矛盾があり、正直者が損をする制度であるため、正しい治療を行おうとする志をもった歯科医師がいなくなってしまいます。

では、根管治療の保険点数を上げれば我が国の根管治療の質が良くなるかというと、決してそうではないでしょう。

これは、モラルの問題をはらんでいるのです。

治療の質を上げるには、究極的には専門医制度を作り、治療の質を患者さん本人に評価してもらう(歯科医師や医院を選んでもらう)ことが必要です。

どのような組織や団体を作っても、利権が生じる以上、歯科医師が歯科医師を正しく評価することは難しいのです。

 

初診時レントゲン。右側下顎第二大臼歯の根管治療の例。歯根は2本あるものの、1本には薬が全く入っておらず、歯根の先端部は化膿して黒く骨が溶け、根尖病巣を生じている。毎日たくさんの患者さんのレントゲンを撮影するが、このような治療例がほとんどで、気分が悪くなる。

 

再根管治療後。根管内の腐敗した物質を取り除き、完全に消毒・洗浄をして根管充填(こんかんじゅうてん;薬を詰めること)を行った。2根とも、歯根の先端まで白い薬がしっかりと充填されているのが分かる。根管治療は奥歯になればなるほど難易度が高くなるが、決して妥協は許されない。これが術前と同じ評価(保険点数)であったとしたなら、著しい不公平であると言わざるを得ない。

 

きちんとした正しい治療を受けるためには、患者さんも受け身であってはいけません。

積極的に情報を収取し、自分の病気のこと、自分が治療を受ける医院の治療実績や理念、歯科医師の経歴なども予め知っておいた方が良いでしょう。

治療に際しては、治療の内容やレントゲン写真の説明などをしっかりとしてもらえる医院であることが重要です。

自分の歯や健康を守るためには、ご自身の努力も惜しんではいけないのです。

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神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 歯科医療提言

歯を精密に作るために!~歯肉圧排とシリコン印象~

歯を長持ちさせるためには、妥協を排した精密な治療が求められます。

口腔内の環境はかなり厳しいものです。

冷たいもの、熱いもの、酸性、アルカリ性の食品を毎日何百回も噛み、つねにバクテリアにも晒されています。

このような環境の中、セラミッククラウンなどの人工歯を長持ちさせるためには、高い精密性が求められます。

特に歯型を採る際には、歯と歯茎の境目を明確に分離しなければなりません。

歯と歯茎の境界を分離するために、型取りの前に歯肉圧排(しにくあっぱい)という前処置を行います。

 

歯と歯茎の境界を分離するために行う歯肉圧排。歯と歯茎の間に細いコードを入れて、歯茎を歯から排除する。これを行うことで、精密な歯型を採ることが出来る。治療時間に限りがあり、なおかつ保険点数のない歯肉圧排は、保険診療ではほとんど行われることはない。

 

また、型取りする材料は寸法変化が少ないものでないと、ピッタリとした詰め物・被せ物は出来上がりません。

寸法変化の少ない印象材の主流はシリコン印象材ですが、シリコン印象材は高価であるため保険診療で使われることはほとんどありません。

採算が合わず、赤字になってしまうのためです。

一般的には、アルジネート印象材(海藻から採れる成分)と寒天を用いた連合印象が主流です。

安価ですが、熱可塑性で強度が無く寸法変化が大きいために取り扱いが難しく、歯型の再現性が低いため精密な詰め物・被せ物を作ることはできません。

 

シリコン印象材を使った精密な型取り。高価ではあるが、寸法変化が極めて少なく、精密な詰め物・被せ物を作るためには必要不可欠。歯の適合性や噛み合わせの再現性が非常に高い。

 

長持ちする治療をしようとすると、手技が複雑になり、材料が高価なために、どうしても時間とコストがかかってしまいます。

どうかご理解のほど、宜しくお願いいたします。

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神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 補綴(クラウン・ブリッジ)

歯髄壊死から継発する根尖病巣~大きな虫歯は歯髄壊死を惹起する~

虫歯が大きく歯髄(しずい;歯の神経)に近くても、あるいは虫歯を削って歯髄がわずかに露出(露髄という)しても、痛みや強い、しみるなどの症状が無ければ、歯髄をMTAセメントや水酸化カルシウムなどの薬剤で保護し、歯髄を取らずに保存することが望ましいです。

歯髄は歯に栄養を送っているため、歯髄を取り除くと歯に栄養供給がされなくなり、歯が破折したりひび割れ(クラック)を生じたりするリスクが高くなります。

歯が破折やひび割れを起こすと、治療によって歯を残すことが出来なくなり、抜歯の適応となります。

つまり、歯髄を取ると、将来抜歯になるリスクがかなり高くなるのです。

 

しかしながら、深い虫歯になった歯の歯髄を温存して治療をすると、知らず知らずの間に歯髄が炎症を起こし、ついには壊死(えし;自然死)してしまうことも珍しくはありません。

歯髄壊死になると、歯の変色や歯茎の腫れとして発見されることが臨床上多いです。

歯髄壊死を放置すると、歯根の先端に根尖病巣(こんせんびょうそう;慢性根尖性歯周炎)という炎症が起こり、歯根を支えている歯槽骨が溶けてしまいます。

根尖病巣が大きくなると、やはり歯を残せなくなる可能性が高くなります。

これらのことから、歯の歯髄を温存するか取り除く(抜髄)のかを判断するのは、非常に難しいのです。

 

上顎前歯の審美障害。歯茎の腫れを繰り返すものの、そのたびに歯茎の切開を繰り返していた。

 

右側上顎中切歯(真ん中の歯)の歯冠部には、虫歯治療による大きな白い充填の痕(コンポジットレジン充填)があり、歯根の先端には黒いレントゲン透過像を認める。虫歯治療に継発した歯髄壊死、根尖病巣と診断した。必要な治療は根管治療であり、切開を行っても治癒することはない。

 

根管の中にファイルを挿入し、歯根の長さと方向を確認。やはり歯髄は壊死していた。根管の中を完全に清掃消毒して極力無菌化を図る。

 

根管充填後。白く写っているのが薬。歯根の先端まで隙間なく緊密に充填されているのが分かる。根尖病巣の多くは、適切に根管治療を行うことで治癒する。

 

上顎4前歯をオールセラミッククラウンで補綴(ほてつ;被せること)した。歯茎の炎症もなく、明るく美しい口元になった。

 

歯髄壊死は症状が出にくいため、発見が遅れがちです。

歯髄壊死を起こしてから時間が経つと、歯の変色が強くなったり、根尖病巣が大きくなったりします。

根尖病巣は、大きくなるにつれ、また経過が長いほど難治性になります。

歯髄壊死を指摘されたら、早めに治療をお受けになることをおすすめします。

 

 

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日付:  カテゴリ:コラム, 根管治療

歯髄壊死による根尖病巣~歯の変色と歯茎の腫れは歯髄壊死のサイン~

大きな虫歯や、歯のマイクロクラック(ひび割れ)、虫歯の治療後、あるいは外傷で歯を強くぶつけたりすると、歯の色が暗く変色を起こしたり、歯茎にニキビのような腫れ(フィステルという)が生じたりすることがあります。

歯の中には、歯髄(しずい)と呼ばれる歯の神経があり、虫歯やその治療、あるいは外傷などによって、歯髄が自然死してしまうことがあり、これを歯髄壊死(しずいえし)と呼んでいます。

虫歯に継発する歯髄壊死は、はじめ冷たいものや熱いものにしみる症状を呈しますが、徐々に症状は消失します。

このため、歯髄壊死の発見は遅れ、結果として歯の変色や歯茎の腫れで異変に気が付くことが多いのです。

歯髄壊死が放置されると、歯根の先端の歯槽骨が徐々に溶け、根尖病巣(こんせんびょうそう)を生じます。

 

虫歯治療後の歯髄壊死による根尖病巣のレントゲン像。根尖(歯根の先端)に黒い骨吸収像を認める。歯冠部(歯の部分)には白く大きなコンポジットレジン(白いプラスチック)が充填されているのが分かる。典型的な虫歯治療後の歯髄壊死に継発した根尖病巣。

 

ファイルと呼ばれる治療器具を根管の中に入れ、歯根の方向と長さを確認する。根管治療では、内部の腐敗した組織とバクテリアを完全に除去・洗浄し、極力無菌的にすることを目指す。歯髄壊死してからの経過が長いほど、治癒にも時間がかかり、治療も長期化する傾向がある(治療期間や回数)。

 

根管充填後。白く写っているのが根管充填材(根管内に入れる最終的な薬)。根尖まで隙間なく緊密にしっかりと詰めてあるのが分かる。レントゲン像で骨の再生を認めるまでには、一般的に数か月を要する。根管充填は、主にガッタパーチャと呼ばれるゴム状の樹脂と糊剤(練り薬)が使用されることが多い。

 

根管治療6か月後。根尖(歯根の先端)にあった根尖病巣(黒い大きな骨吸収像)はかなり縮小し、治癒傾向を認める。適切な根管治療を行うことによって、根尖病巣はそのほとんどが治癒する。

 

根管治療は、きちんと行わないと根尖病巣が治癒せず、病巣がますます大きくなって歯を失うことになります。

歯髄壊死が疑われたら(歯の変色や歯茎の腫れ)、速やかに信頼のできる歯科医院で診査をお受けになることをおすすめします。

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神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 根管治療

前歯のコンポジットレジン治療による審美不良を、オールセラミッククラウンで綺麗に改善

コンポジットレジンは非常に優れた材料で、小さな虫歯を審美的に治療するのに向いています。

コンポジットレジンは光で硬化させるため、形を自由に付与できるので、虫歯の部分だけをピンポイントで削り、最少の範囲で治療を完結することが出来ます。

また、材料の色が白く、歯の色に近似しているため、審美的に仕上げることも可能です。

 

一方で、強度があまりないのが欠点です。

大きな虫歯をコンポジットレジンで詰めると、欠けたり、外れたり、摩耗したりしやすいのです。

虫歯の範囲が広範囲であったり、神経達するほど深い場合には、セラミックや金属などで歯の形態を回復するほうが、長期的には安定して持つでしょう。

 

コンポジットレジンで治療された前歯。広範囲ににわたってコンポジットレジンが不適合に詰められており、変色も目立つ。きわめて審美性が悪い。前歯の切端(先端)を含んで充填されたコンポジットレジンは、高頻度に破折や脱離をくり返す。このようなケースは、クラウンによる治療の対象となる。

 

上顎中切歯(真ん中2本)をオールセラミッククラウンで補綴(ほてつ;被せること)した。上顎の側切歯(2番目の前歯)や下顎前歯部は、コンポジットレジンにて再治療を行った。審美性が向上し、明るい口元になった。

 

治療法や使用する材料には適材適所があり、その範疇を超えて治療を行うと、良い治療結果は得られません。

基本的には、一度治療したら、良い結果が永く持続することが望ましいでしょう。

再治療を前提とした治療は、長い目で見て歯を失うことになります。

当院では、治療したところが再び悪くならないような治療法や材料のご提案をさせていただきます。

分かり難い点は、どうか遠慮なくご相談ください。

 

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治療期間:3週間

治療費:24万円(税抜き)

治療によるリスク:セラミックは過大な咬合力で欠けることがあります。また、日々の適正なブラッシングを怠ると、歯周炎が惹起されることがあります。

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 審美歯科

診療内容

アクセス

中央本線神田駅(東京都) 南口から徒歩3分
総武線快速新日本橋駅 2番出口から徒歩1分
銀座線 三越前駅 A8出口から徒歩3分
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