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神田デンタルケアクリニックからのお知らせ

ホームホワイトニングで白く美しい口元に!

明眸皓歯(めいぼうこうし)という言葉をみなさんご存じでしょうか?

明眸皓歯は「澄んだひとみと白い歯」という意味の四字熟語で、美人を形容する言葉として古来より使われてきました。

やはり、白くきれいな歯は、その人の印象を左右すると言っても良いでしょう。

 

ご自身の歯の色を白くするする方法には、

①ホワイトニング(漂白)

②ラミネートべニアやセラミッククラウンによる補綴(ほてつ;被せること)

の二つがあります。

 

当然ですが、歯の色を白くするためだけに、歯を削ってラミネートべニアやセラミッククラウンにすることは、当院ではおすすめしていません。

歯は削ったところからダメになるため、虫歯でなければなるべく削らないほうが賢明です。

ホワイトニングには、自宅で行うホームホワイトニングと、病院で行うオフィスホワイトニングがあります。

今回は、ホームホワイトニングのケースをご紹介します。

 

術前。全体的にグレー色で、歯に縞模様(バンディングという)を認める。歯頚部(しけいぶ;歯の歯茎寄り)は象牙質の色を反映し、やや黄色味が強い。ホワイトニングでは、比較的白くなりにくいケース。

 

ホームホワイトニング後。全体的に色のトーンが上がり、白く美しい口元になった。バンディングはホワイトニングでは消えにくい。歯頚部の色もやや白くなりにくい。

 

ホームホワイトニングは、ホワイトニングトレーに薬剤を入れ、30~60分ほど歯に薬剤を作用させます。

ホームホワイトニングは、濃度の低いホワイトニング剤を着色した歯の内部に作用させ、歯を内側から漂白します。

このため、ホワイトニング効果が長く続き、色の後戻りも緩徐です。

 

ご自分の時間のある時に、いつでもホワイトニングができますし、知覚過敏が出た場合にも、ホワイトニングの時間や期間を調整できます。

また、歯型が変わらなければ、ホワイトニングを継続的にご自宅で行うことも可能です。(リタッチ)

ホワイトニングにご興味のある方は、ぜひ経験豊富な当院スタッフまでお問合せください。

デンタルリテラシーを高めるためのブログはこちら

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, ホワイトニング

難治性の根尖病巣~歯根肉芽腫と歯根嚢胞~

根尖病巣(こんせんびょうそう)とは、歯根の先端にできる病巣・病気のことを指します。

通常、健康な歯の内部には神経が通っており(これを歯髄(しずい)という)、歯の栄養と知覚を司どっています。

虫歯が大きくなったり歯の外傷によって、この神経の部分にバクテリアが入り込んだり、あるいは壊死(えし)したりすると、バクテリアやバクテリアが産生する毒素により、歯根の先端に炎症が起こります。

この状態を、根尖病巣と呼んでいます。

 

ところで、根尖病巣は不適切な根管治療でも生じます。

根管治療をしてある歯であっても、歯の内部(根管)をきちんと清掃・消毒していない、あるいはきちんと薬を詰めていない(根管充填していない)ことでも、根尖病巣を生じてしまいます。

 

根管治療は、一般の方が考えているよりも遥かに難しい治療であり、その技術の習得は簡単ではありません。

そして、わが国の健康保険制度にあっては、この根管治療の評価は極めて低く、きちんと治療を行おうとすればするほど不採算となってしまいます。

たくさんの患者さんを診ないと歯科医院の運営が成り立たない保険診療では、根管治療がきちんと行われていることはほとんどありません。

 

通常、根尖病巣は適切な根管治療を行えば治癒します。

しかしながら、何ら症状が無く根尖病巣が長期間放置されたような場合、より難治性の歯根肉芽腫しこんにくがしゅ)や歯根嚢胞(しこんのうほう)へと移行してしまいます。

歯根肉芽腫や歯根嚢胞では、外科的に病巣を取り除かなけらばならない場合もあります。

 

右側下顎小臼歯部の歯茎の腫れ。根管治療を数回行うも、頬側の歯茎の腫れが改善しない。難治性と判断し外科的に病巣を切除することにした。

 

根管治療をしっかりと行った後、歯茎を切開・剥離して病巣を取り除いた。

 

取り除いた小指の爪大ほどの歯根嚢胞。

 

歯根嚢胞の摘出後。歯茎の腫れは無事に治まっているのが分かる。

 

歯茎の腫れは、そこに炎症がある兆候なので、そのまま補綴(ほてつ:被せること)を行ってはいけません。

これは、歯周病であれ根尖病巣であれ同じことです。

仮に難治性であったとしても、手を尽くせば治る可能性はあるのです。

まずは、担当の先生と治療方針や予後についてしっかりとご相談されることをおすすめします。

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 根管治療

矯正治療で歯並びが良くなると、歯と歯の間に隙間ができる!

歯並びが悪く、乱杭歯(凸凹、クラウディング)がある場合、矯正治療で歯並びが良くなると、歯と歯の間に隙間が出来ようになります。

これは歯同士の重なりが紐解けていくことによるもので、歯列矯正で歯を動かすと歯茎(歯肉)がやや退縮する傾向があります。

 

矯正治療中。乱杭歯が強かったため、前歯を1本抜歯して歯を並べている。

 

矯正治療後。歯と歯の間の隙間が顕著。乱杭歯(凸凹)が強いと、このように歯と歯の間に隙間を生じやすい。

 

この歯と歯の間の隙間が気になる場合、歯間部を少し削るディスキングを行い、歯と歯同士を引き合うことによって、隙間を少し減らすことが可能です。

また、隙間の部分にコンポジットレジン(白いプラスチック)を詰めて隙間を少なくする方法もあります。

ただし、コンポジットレジンは経年的に劣化して変色しますし、ブラッシングがしにくくなり虫歯になりやすくなるため、あまりお勧めは出来ません。

あまり気になるようでなければ、そのままいじらず、しっかりとブラッシングによる管理をすることをおすすめします。

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 矯正歯科

インプラント治療の優位性~なぜ歯医者はインプラントを勧めるのか?~

歯を失った場合、そのままにしておくと残っている自分の歯が移動して、噛み合わせの崩壊が起こります。

したがって、歯を抜いたら、基本的には人工の歯を入れる必要があります。

多くの場合、何らかの原因で奥歯がダメになって抜歯となり、次いで下顎の前歯が上顎の前歯を突き上げて噛むようになって上顎の前歯がダメになります。

これは、力学的な問題であり、奥歯の噛み合わせがしっかりしていないと、上顎の前歯に負担がかかることを意味しています。

奥歯の噛み合わせが崩壊していて、上顎の前歯を治したいと訴える患者様が時々いますが、順番から言うと治すべきはまず奥歯なのです。

奥歯がしっかりと噛みあっていなければ、いくら費用をかけて治しても、前歯は時間の問題でダメになってしまいます。

 

また、奥歯の噛み合わせの崩壊は、頭痛や首こり、肩こりなどの原因にもなります。

ですから、治療計画を考える上で、奥歯の治療はとても優先順位が高いと言えます。

 

そして、歯を入れる方法がとても重要です。

歯を失った場合、歯を入れる方法は主に次の3通りです。

①入れ歯

②ブリッジ

③インプラント

 

入れ歯は、使用していると徐々に緩くなって合わなくなったり、噛み合わせが減ってしまうため、結局は前歯が強く当たるようになりダメになります。

入れ歯を掛けている歯も揺らされるため、やがては抜歯になる運命です。

 

ブリッジはとてもポピュラーな治療法ですが、ブリッジを掛けた歯の負担が重くなり、歯根の破折や咬合性外傷になって骨が溶け、歯がダメになります。

そもそもブリッジは、残っている自分の歯がしっかりとしていなければいけませんし、欠損した両隣に歯が残っていなければブリッジにはできません。

 

この点、インプラントは噛み合わせをしっかりと与えることができ、噛み合わせがすり減ることもないので、本来の前歯を守る役目をしっかりと果たしてくれます。

ブリッジのように、両隣に歯が残っていなくても問題なく、自分の歯に負担をかけることもないため、現在では、欠損補綴の第一選択となっています。

 

下顎の両側遊離端欠損(奥に歯が残っていないケース)。片側に2本づつインプラントを埋入し、インプラントでのブリッジを計画した。写真はチタンアバットメントを装着したところ。以前は、1歯欠損に対して1本のインプラントを埋入することが主流であったが、現在ではメンテナンスの容易さ、費用対効果、インプラント自体の強度の向上等により、インプラントでのブリッジも可能。

 

模型上で制作されたチタンアバットメント。インプラントとセラミッククラウンなどの上部構造を繋げる役目がある。

 

チタンアバットメントの上部に制作されたジルコニア・オールセラミックブリッジ。現在セラミックの主流となっているジルコニアは、強度が非常に高いため破損しにくく、噛み合わせ高さをしっかりと保ちつつ、高い審美性も獲得できる。

 

ジルコニア・オールセラミックブリッジ。金属を使用しないので破損しにくく、審美性も優れている。

 

治療後。奥歯がしっかりと入ることによって、前歯の負担が著しく改善した。噛み合わせも安定し、何でもしっかりと食べられるようになるとともに、頭痛や首こり、肩こりなどの不定愁訴が改善されることも珍しくはない。ジルコニアブリッジによる補綴により、審美的にも満足のいくものとなっている。

 

治療方法を決めるにあたっては、何に重きを置くかは大きな問題です。

治療費、治療期間、治療に対する不安、審美性、治療効果の永続性など、ヒトそれぞれ希望は異なります。

現在、歯を失った場合の治療法で最も優れていると思われるのは、インプラント治療であることはほぼ間違いないでしょう。

しかし、最も重要なことは、受ける治療がご自身の希望に適う治療であるということです。

治療の結果は、最終的には治療法を選択した患者さんに帰すからです。

治療法で迷われたら、納得のいくまで担当の先生と相談されることをおすすめします。

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:インプラント, コラム

外傷による破折歯の治療法~部分矯正(エクストルージョン)の応用~

上顎の前歯は外傷を受ける頻度が高い部位です。

転倒やスポーツ、交通事故などで前歯をぶつけるケースは少なくありません。

歯が外傷を受けると、歯の神経が失活して(死んでしまうこと)変色したり、破折や脱臼(歯の位置異常)をおこすことがあります。

 

わずかな歯の破折では、歯の研磨や、コンポジットレジン(プラスチック)を充填するだけで大丈夫なことが多いでしょう。

しかし、歯の神経が露出するほど大きく破折した場合には、補綴(ほてつ;歯を被せること)や抜歯が適応になることもあります。

骨の中の深いところで破折した場合には、歯を温存することが難しいですが、比較的浅いところで破折した場合には、部分矯正を利用して保存が可能です。

 

初診時。顔面にテニスラケットを強打し、上顎の前歯が骨縁下で破折。診査・診断により、歯の保存が可能と判断し、根管治療を行った。

 

歯根を歯槽骨の中から引っ張り出す(これをエクストルージョンという)ため、舌側に矯正装置を装着した。装置は表側からは一切見えない。1~2週間おきにゴムを交換し、徐々に歯根を引っ張り出していく。

 

エクストルージョンが済んだところで、歯根にコア(土台)と仮歯を装着。さらに、歯をより厳密に動かすためにブラケットを装着して部分矯正を行う。

 

治療後。保定期間を経て、仮歯をセラミッククラウンで補綴し、審美性も回復した。歯を抜かずに治療できた価値は高い。

 

通常では保存が難しいと思われる歯であっても、状況によっては、さまざまな手法を使うことによって歯を抜かずに保存することも可能です。

もし、歯の抜歯宣告を受けた場合でも、セカンドオピニオンでは抜歯を回避できる提案を受けることができるかもしれません。

諦めずにそのような歯科医院を探す努力が必要です。

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:口腔外科, 審美歯科, 矯正歯科

インプラントの矯正治療への応用

歯並びで悩んでいる成人の方は少なくないと思います。

見た目のことはもちろん、発音が悪い、歯磨きがしにくい、歯が頬や唇の粘膜にあたっていつも口内炎ができるなど、歯列不正は多くの問題を引き起こします。

矯正治療はお子さんが受ける治療と考えている方がとても多いですが、決してそんなことはありません。

大人でも、高いモチベーションがあれば、矯正治療は可能です。

 

しかし、大人の方が矯正治療を受けようとする場合、様々な問題を抱えていることが少なくありません。

虫歯や歯周病、歯の欠損、根管治療不良、噛み合わせ不良など、歯並びを改善する前にするべき治療がたくさんあるのです。

奥歯を支えにして前歯を動かす矯正治療の性質上、奥歯が無いケースでは、基本的に前歯を動かすことが出来ません。

このため、矯正治療の前に奥歯を入れる必要があるのですが、ここでインプラントが威力を発揮するのです。

 

治療前。前歯にクラウディング(乱杭歯、叢生)を認める。奥歯は虫歯がひどく、すでに歯が崩壊している。このようなケースでは、まず歯周病治療および保存不可能歯の抜歯を行い、口腔内の環境を改善する必要がある。

 

矯正治療前。抜歯後、臼歯部にインプラントを埋入した。一度入れたインプラントは場所を動かすことが出来ないため、矯正治療を行う場合は、歯を理想的な場所に動かすことを想定してインプラントを埋入しなければいけない。

 

インプラントに仮歯を装着し、噛み合わせを改善。歯と仮歯にブラケットを装着し、歯を動かしていく。インプラントは骨と強固に結合するため、強力な固定源(アンカー)となる。

 

矯正治療後。左右対称な美しい歯列になっているのが分かる。奥歯のインプラントを固定源としたことで、歯を理想的な場所に動かすことが出来た。噛み合わせの調整をしっかりと行い、奥歯の仮歯を最終補綴に代えていく。

 

治療後。歯列の後戻りを防止するために、舌側に保定のための固定式リテーナーを装着。奥歯を最終補綴し、何でもしっかりと咀嚼できるようになった。

 

成人の方でも、きちんと治療計画を立て、あらゆる治療を駆使すれば、より良く治ることが出来るのです。

矯正治療に年齢制限はありません。

歯並びでお悩みの方は、是非一度ご相談ください。

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 矯正歯科

歯茎(歯肉)の腫れの原因~クラウンの不適合~

歯茎(歯肉)が腫れる原因はいくつかあります。

①清掃不良(ブラッシング不足)

②歯周病

③根尖病巣(根管治療の不具合)

④歯根破折

⑤パーフォレーション(穿孔、根の横に穴が開いている)

⑥被せ物(クラウン)や詰め物の不適合

 

これらの中で、ご自身の自助努力で歯茎の腫れが改善できるのは清掃不良によるものだけです。

それ以外のものは、根本的に治療を行わなければ歯茎の腫れは改善しません。

 

治療前。上顎前歯に被せ物が入っているが、歯との適合が悪いため歯茎が炎症を起こし腫れている。バクテリアは、ほんのわずかな隙間や段差でも入り込むため、被せ物や詰め物が不適合だときちんと清掃できず、歯茎が炎症を起こす。

 

治療後。根管治療をきちんと行った後、オールセラミッククラウンで被せなおしをした。精密な被せ物は、歯茎との調和も良く、歯茎の腫れや赤みが改善しているのが分かる。審美的にも満足のいくものになっている。

 

歯茎の炎症の兆候は、歯茎からの出血、発赤、腫脹、痛みなどがあります。

歯茎の炎症をそのまま放置すると、やがて炎症は骨に達し、歯槽骨が溶けて歯周病に発展します。

基本的に、適合性の悪いクラウンはやり替えが必要でしょう。

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:歯周病

破折歯の治療方法~エクストルージョンによる水平性歯根破折の治療~

歯の神経を取ると、歯は栄養供給がなされなくなり、破折を起こすリスクが高まります。

歯根が破折した場合には、治療で歯を残すことが難しく、基本的には抜歯が適応となります。

 

歯根破折には、歯根が縦に割れる垂直性歯根破折と、横に割れる水平性歯根破折があります。

垂直性歯根破折の場合には、治療が難しく、基本的に抜歯となります。

一方、水平性歯根破折の場合には、条件が良い場合に限り、保存的治療が可能となります。

その条件とは、

●歯根の長さが十分に長いこと

●歯肉縁より比較的浅いところで破折していること

●大きな、難治性の根尖病巣が無いこと。

これらを満たせば、エクストルージョン(歯牙の挺出)という手法により、歯の保存が可能な場合があります。

 

エクストルージョンには2つの方法があります。

一つは外科的挺出、もう一つは矯正的挺出です。

外科的挺出は、歯根を途中まで脱臼させ、その後数週間固定をする方法です。

治療の期間と回数が少なくて済む反面、歯根と歯槽骨が癒着を起こすリスクや、歯根を脱臼させる際に歯根が破折するリスクがあります。

 

これに対して、矯正的挺出は、歯にゴムなどで持続的な力を加え、歯根を骨の中から少しづつ引っ張り出す方法です。

外科的挺出と違い、さらなる歯根破折や骨との癒着のリスクがない反面、治療期間と回数がかかるデメリットがあります。

基本的には、歯根に負担をかけないために、矯正的挺出を行うことが望ましいでしょう。

 

初診時。水平性歯根破折により、歯茎の腫れが見られる。保険のクラウンが装着されており、色の変色とブラックマージン(歯と歯茎の間の黒ずみ)を生じている。著しく審美性が悪い。

 

比較的浅い部分での水平性歯根破折であったため、矯正的挺出を試みる。

まず、破折した部分を取り除き、根管治療を完全に行ったあとに仮歯を装着する。仮歯の裏側から矯正装置を装着し(→)ゴムを使用して骨の中から歯根を徐々に引っ張り出す。

 

治療後。矯正的挺出後、連結補綴を行い(歯を繋げて被せること)、後戻りの防止と固定を行う。歯茎の腫れがなくなり、きれいなピンク色の歯肉を呈する。セラミッククラウンで補綴することにより、白く透明感のある美しい仕上がりになる。ブラックマージンも改善している。

 

歯根が破折した場合、歯を保存することは非常に難しくなります。

状況によっては、抜歯をしてブリッジやインプラント治療の方が予後が良い場合も少なくありません。

治療法の選択については、診査・診断がとても重要になりますので、担当の先生とよくご相談することをおすすめします。

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 審美歯科

歯並びと舌房(舌を置くスペース)~舌房が狭いと、体調が悪くなり易い~

歯並びは遺伝的な影響を強く受けると考えられています。

例えば、下顎前突(受け口)などはその典型で、ドイツ系貴族の家系であるハプスブルク家は、血縁制度を利用した政略結婚によって近親者の結婚を繰り返した影響により、18代・45人にわたり下顎前突が遺伝的に発現したことで知られています。

一方で、後天的な影響によって歯列不正が起こることもあります。

その一つに、食習慣や咀嚼の影響が挙げられます。

 

下顎の鞍状歯列弓。下顎臼歯が舌側(ぜっそく;内側)に倒れこみ、歯列が鞍状を呈する。歯列弓が狭いと舌を置く場所がなくなり、舌は後方へ追いやられる。この結果、気道が狭くなり、慢性的な酸素不足をきたしやすい。

 

奥歯が舌側に倒れこむのは、下顎の顎運動との関連が示唆されています。

顎運動には、下顎を主に上下縦方向に動かすチョッピング・タイプと、主に水平方向に動かすグラインディング・タイプ、そしてその両方を行うタイプに分けられます。

奥歯が内側に倒れこまず、きちんと真っ直ぐに萌出するには、グラインディング・タイプが有利であることが分かっています。

下顎がグラインディング(食べ物をすり潰す前後左右への下顎の運動)を行うことによって、臼歯部は正しく真っ直ぐと萌出するようになるのです。

これは、噛み応えのある食べ物をすり潰すときに行う顎運動です。

 

一方、あまり咀嚼しなくても食べられる軟食の場合には、下顎はすり潰す顎運動をする必要がありません。

このようなチョッピング・タイプが主体の咀嚼習慣は、臼歯部の正しい萌出が促されず、舌側に傾斜すると考えられています。

つまり、咀嚼習慣によっても歯列や歯並びが影響を受けるのです。

 

臼歯が舌側に倒れこむと、舌房(舌を置くスペース)が狭くなり、舌は必然的に後方(喉の方)に下がります。

舌が後方へ下がると、気道が塞がれ十分な酸素を取り入れることが難しくなります。

酸素不足の状態が続くと、頭痛やめまい、倦怠感、記憶力や集中力の低下など、体調不良を引き起こす原因になるのです。

 

特に、成長期の食習慣は非常に重要であり、栄養面だけでなく、歯並びや顔貌の左右対称性、さらには記憶力や精神の発達等、心身の発育に強い影響を及ぼします。

ぜひ、お子さんの食習慣を見直し、美しい歯並びや顔立ち、そして健全な心身の発育をサポートしていきましょう。

 

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 矯正歯科, 食養生

詳解!歯列矯正治療の流れ(抜歯矯正編)

歯列不正の原因の多くは、歯と顎の大きさのディスクレパンシー(不調和)にあります。

元来、歯の形や大きさなどの形質は遺伝的素因によって決定されると考えられていましたが、現代の恵まれた栄養摂取により、歯の大きさは大きくなってきていることが分かっています。

一方で、加工食品や調理方法の発達で、現代では咀嚼回数の減少が顕著なものになっています。

咀嚼の減少が、歯の萌出や歯列形態、咀嚼筋や顎骨の発達などに影響を及ぼし、歯列不正の一因となっています。

 

今回は、クラウディング(叢生、乱杭歯、凸凹)による歯列不正の治療例を解説します。

患者さんは50代女性、前歯の凸凹を主訴に来院されました。

上顎側切歯の反対咬合、左側第二小臼歯の反対咬合を認めます。

非抜歯で歯列矯正を行うと、前歯が前方に出て、出っ歯になってしまうケースですので、上下左右の小臼歯を4本抜歯して矯正治療を行うこととしました。

 

初診時。上顎の側切歯が内側に入り反対咬合を呈する。左側下顎第二小臼歯は頬側に出て、反対咬合を呈しているのが分かる。

 

治療開始時。まず、上顎の左右第一小臼歯を抜歯し、犬歯(糸切り歯)を後方に牽引していく。ここでは、犬歯だけを選択的に動かすため、あえてセクショナルアーチ(部分的なワイヤー)を使用。

 

1か月後。上顎犬歯のリトラクション(後方移動)を継続。下顎の左右小臼歯を抜歯し、ブラケットを装着。下顎右側犬歯と左側第一小臼歯のリトラクションを行っていく。

 

2か月後。上顎犬歯のリトラクションが進み、側切歯との間に隙間が見られる。引き続き、上下ともリトラクションを進める。

 

3か月後。上顎前歯部にもブラケットを装着し、レベリング(歯の高さや凸凹、ねじれ等を整えていくこと)を行っていく。上下とも、リトラクションは継続。

 

4か月後。さらに上下ともリトラクションを継続。ワイヤーサイズを徐々に上げ、太く弾性の強いワイヤーに変えていく。

 

5か月後。上下ともリトラクションがかなり進み、上顎側切歯の反対咬合も改善している。歯が動く過程で、臼歯部の噛み合わせが甘く(悪く)なっているのが分かる。これは一時的なものなので心配はない。

 

6か月後。ワイヤーをさらにサイズアップし、リトラクションを継続。歯の傾斜やねじれを積極的に修正していく。

 

7か月後。リトラクションを継続。ワイヤーの歪みがかなり少なくなっているのが分かる。

 

8か月後。上下4前歯のリトラクション(後方移動)を行う。抜歯矯正による前歯のリトラクションでは、前歯部の噛み合わせが深くなりやすい(バーチカル・ボーイング・エフェクト:弓なり効果)ので注意が必要。

 

9か月後。リトラクションを継続。抜歯スペースがかなり閉鎖されており、前歯が後方に移動しているのが分かる。前歯部の噛み合わせはさらに深くなっている。

 

10か月後。前歯のリトラクションを一旦休止し、過蓋咬合となった上下前歯の圧下(歯を骨の中に沈めていくこと)を図り、咬合平面を修正していく。

 

11か月後。引き続き、上下前歯の圧下による咬合平面の修正を行う。

 

12か月後。上下前歯の圧下が進んできたため(過蓋咬合が改善)、前歯のリトラクション(後方移動)を再開。

 

13か月後。引き続き、前歯部のリトラクションを継続。

 

14か月後。上顎前歯のリトラクションの為に、上下の歯にエラスティックと呼ばれるゴムを装着。これを24時間使用する。

 

15か月後。下顎の抜歯スペースはほぼ消失。上顎前歯のリトラクションを継続していく。臼歯部の噛み合わせがかなり緊密になってきているのが分かる。

 

16か月後。上顎右側の抜歯スペースは消失しているが、左側にはまだスペースが残っているため、引き続きリトラクションを継続。

 

17か月後。引き続き、上顎左側のスペースを閉じるようにリトラクションを継続。

 

18か月後。抜歯スペースが完全に閉じているのが分かる。ここから、噛み合わせの緊密化を図るために微調整を加えていく。

 

19か月後。上下の歯の正中(真ん中)もピッタリと一致している。前歯の噛み合わせがやや深い(過蓋咬合)ので、ワイヤーによるバイトオープニング(噛み合わせ深さを浅くすること)を図る。

 

20か月後。引き続き、バイトオープニングを図る。

 

21か月後。さらにバイトオープニングを図る。必要に応じて咬合調整を行い(歯の噛み合わせ調整)、噛み合わせの緊密化を図る。

 

22か月後。ブラケットオフ時。凸凹であった前歯はきれいに並び、前歯・臼歯ともに緊密な噛み合わせになっているのが分かる。矯正治療の仕上がりは、最終的な咬合関係の良否で決まる。このあと、歯の後戻りを防止するために、保定に入る。

 

 

現代の矯正治療は、器具やシステムの進化により、歯を動かすこと、並べることは、昔と比べてはるかに容易になっています。

しかしながら、矯正治療後の仕上がりは、治療を受ける医院やDrによってかなりのばらつきがあるのが現実です。

 

また、近年では、治療しているのが目立たないという理由でマウスピース矯正を希望される患者さんが増えています。

マウスピース矯正をしている患者さんをたくさん見てきましたが、明らかに適応ではないと思われる症例が多いと感じています。

無理に非抜歯で治療を行っているため、予定通りに治療が進まないばかりか、前歯が突出して出っ歯になっているケースが目立ちます。

中には、非抜歯で2年間もマウスピースで矯正をしながら、やっぱり抜歯しないと揃わないと言われたりすることもあるようです。

 

抜歯か非抜歯かの選択は、もちろん患者さんの希望は重要ですが、あくまでも医学的にきちんと歯が並ぶか、噛み合わせが整うかという根拠によることがより重要です。

歯並びが良くなっても、出っ歯になって歯茎が退縮したり、顔貌や噛み合わせがかえって悪くなるケースが現実に存在しています。

したがって、矯正治療に際しては、最初の診査・診断、そして治療計画が最も重要ということになるのです。

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 矯正歯科

診療内容

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