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根管治療におけるファイル破折片の除去法

根管治療は、歯科治療の中でも特に難しい治療です。

治療による痛みや歯茎の腫れ、違和感がなかなか消失しない、治療後しばらく経ってからの根尖病巣の発現、歯の穿孔(パーフォレーション:穴を開けてしまう)、根管内での器具の破折など、多くの偶発症・合併症を生じる可能性があります。

治療に際しては、このようなことが起こらないよう、細心の注意を払って行います。

しかしながら、どんなエキスパートが治療を行ったとしても、これらのリスクをゼロにすることは難しいです。

歯の根管は非常に細く複雑で、金属疲労によって器具の破折(ファイルの破折)が起こることがあります。

 

初診時レントゲン。上顎前歯の差し歯の脱離を主訴に来院。当該の歯は根管治療がしてあるものの、ファイルが根尖部を突き抜けており(矢印)、根尖病巣を生じている。虫歯にも罹患しているため、再根管治療を行った上で補綴(ほてつ:被せ物)をやり替えることとした。

 

ウルトラソニックとループディバイスにより、破折して残存していたファイル片を除去した。破折しているファイルの長さや根管の湾曲度によって、ファイルの除去方法は異なる。

 

破折したファイルを除去したところ。通法に従い再根管治療を行う。

 

根管充填後。根尖まで緊密に根管充填を行った。この後補綴処置(被せること)を行っていく。

 

 

基本的に、器具は滅菌されているものを使用しているので、ファイルそのものは感染源にはなりません。

したがって、根管が感染を起こしていなければ、必ずしも折れているファイルを除去する必要はありません。

無理に取り除こうとすると、さらに器具を折り込んだり、歯を穿孔したり、歯が薄くなって破折を起こすリスクが高くなります。

しかしながら、根管が感染していて歯に痛みや腫れ、根尖病巣を生じている場合には、残存しているファイルを取り除くことが望まれます。

取り除くことが難しい場合には、外科的歯内療法(歯根端切除)にて取り除くか、あるいは抜歯が適応になることがあります。

このため、根管治療は特に注意深く治療を行うことが求められます。

治療費:精密根管治療(前歯) ¥77,000

ファイル破折片除去 ¥33,000

治療期間:3週間

治療のリスク:治療後、一時的に痛みや歯肉の腫脹を生じることがあります。破折ファイルは必ず除去できるものではありません。

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日付:   カテゴリ:コラム, 根管治療

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