上顎の第二大臼歯(一番奥の歯)の歯根は、通常3本である3根ケースが多く、3本のうちの2本がくっ付いて癒着した2根がそれに次いで多いです。
さらに3本とも癒着したもの、あるいは1本のものなど、バリエーションも豊富です。
しかしながら、時には4本の歯根を持つものもあります。
一般的に、1本の歯根の中には1~2本の根管(神経の管)があり、歯根の数が増えるほど根管治療の難易度は高くなります。
しかも、奥に行けば行くほど見えにくく、器具も届きにくくなるため、その難しさは想像をはるかに超えます。
これをきちんと正しく根管治療を行うためには、かなりのトレーニングと経験が必要になるのです。
初診時レントゲン。第二大臼歯を他院で治療をしたが痛みが治まらず来院。根管充填してあるが(白く写っている薬)、歯根の先端まで入っておらず不十分であることが分かる。根管治療は、再治療の方がさらに難易度が高くなる。レントゲン上では歯根は3本に見えるが、実際にはCT撮影にて4本の歯根を確認した。
根管治療後レントゲン。4根4根管の上顎第二大臼歯。再根管治療後、術前の痛みは完全に消失した。歯根の先端まで白い薬が緊密に美しく充填されていることが確認できる。このような治療をするには強い精神的緊張を伴い、術者も胃が痛くなることが度々。
(治療費:精密根管治療¥77,000、治療回数3回、治療によるリスク:根管治療の成功率は必ずしも100%ではありません。神経の無い歯は、将来的に歯根破折を起こすリスクが高くなります。メインテナンスをきちんと行わないと、虫歯が再発することがあります。)
歯の治療は、一般の方が考えている以上にとても難しい治療です。
正しい治療を行おうとすればするほど、手間も時間も、そして費用もかかります。
ですから、治療をしなくても済むように、日ごろのメンテナンスや定期的な検診がとても大切なのです!