根管治療後には、痛みを生じることが少なくありません。
特に、歯の神経を取った(抜髄;ばつずい)時、歯根の先端に病巣(根尖病巣;こんせんびょうそう)があるとき、根管の中に薬を入れたとき(根管充填;こんかんじゅうてん)などは、特に痛みを生じやすいです。
これは、歯根の先端部を治療器具や薬で刺激するためで、多くの場合一過性であるため心配はありません。
症状が強い時には、鎮痛剤を服用して様子を見ます。
左下6番の根管治療例。根管治療が不完全で、根管充填が歯根の先端まできちんとされていない。このため、歯根の先端部は炎症により骨が溶け、黒く透過しているのが分かる。大臼歯の根管治療は特に難易度が高いため、このような治療例が非常に多い。不完全な根管治療は歯をダメにし、将来抜歯になるリスクが極めて高い。
根管治療後。根管内部を完全に清掃・消毒し、根管充填を行った。歯根の先端部まで白くしっかりと根管充填されているのが分かる。根管充填後には、一時的に「根充痛;こんじゅうつう」呼ばれる痛みが出る場合が多い。これは、薬が歯根の先端までしっかりと詰まるために生じるが、自然緩解するので心配はない。
実は、根管治療時に痛みを生じないように処置をすることは簡単です。
歯根の先端まで触らなければ良いからです。
でも、これでは歯根の先端まで完全に清掃・消毒をすることは出来ないため、数か月~数年後に痛みや歯茎の腫れ、咬合痛(噛んだ時の痛み)を生じる可能性が高くなります。
きちんとした根管治療を行っている歯科医院では、治療前後の根管治療の状態をレントゲンを提示しながら丁寧に説明してくれるはずです。
これは、治療に自信があるからに他なりません。
そして、治療後に痛みが生じる可能性についてもきちんと説明されるでしょう。
場合によっては痛み止めを処方されるかもしれません。
正しく根管治療が行われた結果の痛みであれば、痛みは2、3日~1週間ほどで自然に緩解するので心配はありません。
もし、歯茎に腫れを生じるような場合には、抗生剤の処方が必要なこともありますので、担当の先生にご相談すると良いでしょう。