保険の歯の治療で一般的な銀歯。
銀歯はパラジウムを主体とした合金で、そのイオン化傾向の高さによる金属アレルギーのリスクから、ドイツをはじめとした医療先進国では歯の被せものや詰め物での使用は禁止されています。
また、金銀パラジウム合金は硬度が高く延びが悪いため、噛み合わせの馴染み、歯との適合性(フィット)が良くありません。
これが、歯の持ちに影響を及ぼします。
もちろん、見た目の悪さも見逃せません。
初診時口腔内。銀歯の詰め物(インレー)や被せ物(クラウン)の審美的改善を主訴に来院。上下左右の臼歯部(奥歯)に多数の銀歯を認める。歯との適合性が悪く、2次的なカリエス(虫歯)を生じている。審美性も著しく悪い。歯周病治療、精密根管治療などをきちんと行った上で、セラミックによる審美修復を行う。
治療後。すべての銀歯を外し、セラミックによる審美修復を行った。口腔内は明るく本来の美しさを取り戻した。多数歯の治療を行う場合は、噛み合わせの状況を十分に考慮し、計画的に治療を行うことが極めて重要。多数歯の治療では、噛み合わせが悪くなるリスクをはらんでいるので細心の注意を要する。
銀歯を白いセラミックやコンポジットレジンなどの材質に交換することは、それほど難しいものではありません。
しかしながら、虫歯や根管治療などの内部の治療、そして歯周病の治療など、歯の基礎となる治療をしっかり行うことが、より重要と言えます。
このような治療をしっかりしていないと、詰めたり被せたりしたものを短期間のうちに外さなければいけなくなる可能性が高いからです。
そして、多数歯の治療を同時行う場合で極めて重要なのが、歯の噛み合わせです。
歯の噛み合わせは、高さがわずかでも高いと患者さんは違和感を訴えるため、歯の治療を行うと低くなりがちです。
左右の高さの違いや噛み合わせの不調和は、肩こりや首こり、頭痛、顎関節症などの原因になります。
せっかく歯をきれいにしても、身体が不健康になってしまっては意味がありません。
機能的にも審美的にも良好な結果を得るためには、治療計画、治療戦略がきわめて重要と言えるでしょう。
治療費:セラミッククラウン(奥歯)¥110,000、セラミックインレー¥66,000
リスク:歯のメンテナンスを怠ると虫歯の再発を起こすことがあります。セラミックは歯ぎしりや食いしばり、食事の影響で欠けることがあります