歯を長持ちさせるためには、妥協を排した精密な治療が求められます。
口腔内の環境はかなり厳しいものです。
冷たいもの、熱いもの、酸性、アルカリ性の食品を毎日何百回も噛み、つねにバクテリアにも晒されています。
このような環境の中、セラミッククラウンなどの人工歯を長持ちさせるためには、高い精密性が求められます。
特に歯型を採る際には、歯と歯茎の境目を明確に分離しなければなりません。
歯と歯茎の境界を分離するために、型取りの前に歯肉圧排(しにくあっぱい)という前処置を行います。
歯と歯茎の境界を分離するために行う歯肉圧排。歯と歯茎の間に細いコードを入れて、歯茎を歯から排除する。これを行うことで、精密な歯型を採ることが出来る。治療時間に限りがあり、なおかつ保険点数のない歯肉圧排は、保険診療ではほとんど行われることはない。
また、型取りする材料は寸法変化が少ないものでないと、ピッタリとした詰め物・被せ物は出来上がりません。
寸法変化の少ない印象材の主流はシリコン印象材ですが、シリコン印象材は高価であるため保険診療で使われることはほとんどありません。
採算が合わず、赤字になってしまうのためです。
一般的には、アルジネート印象材(海藻から採れる成分)と寒天を用いた連合印象が主流です。
安価ですが、熱可塑性で強度が無く寸法変化が大きいために取り扱いが難しく、歯型の再現性が低いため精密な詰め物・被せ物を作ることはできません。
シリコン印象材を使った精密な型取り。高価ではあるが、寸法変化が極めて少なく、精密な詰め物・被せ物を作るためには必要不可欠。歯の適合性や噛み合わせの再現性が非常に高い。
長持ちする治療をしようとすると、手技が複雑になり、材料が高価なために、どうしても時間とコストがかかってしまいます。
どうかご理解のほど、宜しくお願いいたします。