根管治療中や治療直後には、痛みや違和感が生じることが少なくありません。
主に次のようなことが原因として考えられます。
➀治療中に根尖部(歯根の先端)の組織を器具で刺激している場合
②根管充填(最終的な薬を詰めること)に伴うもの
③今までの治療ですでに根尖部が破壊されており、再治療で根尖部を弄らざるを得ない場合
④歯髄(神経)が完全に取り除けていない場合(残髄)
⑤根管内に感染源が残っている場合
⑥薬剤による刺激(根管貼薬および洗浄消毒液)
⑦過度の器具の根尖外への突き出し(オーバーインスツルメンテーション)や過剰な根管充填(オーバー根充)
⑧根管治療では治らないケース(歯根破折やパーフォレーション、歯根嚢胞などの予後不良なものなど)
上記の➀、②はきちんと根管治療が行われていても臨床的によく起こるもので、時間とともに(ほとんどが2,3日~1週間程度)症状は治まっていくので心配はありません。
③のケースはそもそも治療自体が非常に難しく、治療の成功率もやや低くなります。
④~⑦は手技によるもので、術者の技量によります。
⑧は外科的歯内療法もしくは抜歯のケースで、根管治療では治癒が見込めないケースです。
初診で来院される患者さんは、根管治療後(治療済みも含め)の痛みや違和感を訴えている方がほとんどです。
まずは、痛みや違和感の原因を正しく診断することが重要となります。
ここを見誤ると、治せるものが治らず、治らないものを永遠と治療する結果になってしまいます。
初診時レントゲン。他院にて右側下顎第二大臼歯の抜髄(神経を取る治療)・根管充填処置を受けたものの、咬んだり指で叩くと痛んだり、フロスを通すと違和感があるため再治療を受けた。しかし症状の改善がなく、詰めた薬も取れないため抜歯を宣告され当院に来院。レントゲンおよびCT画像では、抜歯と診断する理由が見当たらない。残髄もしくは感染源の取り残しが原因と考え、再根管治療を行うこととした。
根管充填後レントゲン。フロスを通したときの違和感は多少残っているものの、痛みは完全に消失したため根管充填を行った。このような一見まったく問題のない歯を抜歯と診断することに驚きを隠せない。
明確な理由が無いにもかかわらず、痛みや違和感あるというだけで抜歯と宣告されることがあります。
このような場合には、まずはセカンドオピニオンをお受けになり、抜歯が必要となる明確理由を尋ねてみてください。
ご自身が納得していない治療を受ける理由はどこにもないのですから。
治療費:精密根管治療¥99,000/大臼歯
治療期間:3週間
治療におけるリスク:根管治療の成功率は100%ではありません