根管治療を精密に行うことは、歯を良い状態で長く保つために非常に重要です。
歯の内部は直接見えないだけでなく、神経を失った歯は異常があっても痛みを感じません。
そのため、歯の内部で起こっている問題が、歯や歯茎の痛みや腫れ、被せ物の脱離などの症状として露呈した場合には、治療としては手遅れとなっている場合が少なくありません。
最近では、根管治療の難しさや重要性が少しずつ患者さんにも認識されてきていると感じています。
ここでさらに重要なことは、根管治療の精密さと治療の成功率にどのような相関があるです。
これは、根管治療の精度とその後に被せる被せ物の精度が、根管治療の成否にどの程度影響しているかを示した表です。
根管治療が精密であれば、当然ながら根管治療の成功率は高くなります。
根管治療の精度が低ければ、もちろん根管治療の成功率は低くなります。
しかし、根管治療の精度が高くても、被せ物の精度が低いと(保険)、根管治療の成功率はかなり低くなり、半分以下となってしまいます。
ここで重要となる事実は2つ。
根管治療の精密さと根管治療の成功率は相関する。
被せ物の精密さと根管治療の成功率は相関する。
つまり、根管治療の成功を最終的に決定付けるものは、実は被せ物(補綴)であると言えます。
いくら精密な根管治療を行っても、その後に被せる被せ物の精度が悪いと、バクテリアが非常に小さな隙間からリークして、根管治療の成功率そのものが悪くなるということです。
このことからも、自費の根管治療と自費の被せ物はセットで受けるべきであることが分かります。
治療は、どこか一部分でも良くない過程があると、全体に影響を及ぼします。
全ての治療がトータルで高い精度を満たした時に、歯の寿命が最も長くなるのです。