我が国の保険の歯の治療は、治療の質がまったく担保されておらず、治療したという実績だけで評価される出来高払いです。
きちんと治療してもそうでなくても、治療費は全国一律です。
ベテランから駆け出しの歯科医師まで、すべて同じ治療費となっています。
治療を受ける側の患者さんは、費用が安く済むことは歓迎すべきことだと思いますが、治療の質にはあまり関心は無いのでしょうか?
そんなことはありません。
歯の治療は、保険が効くのが通常だと思っているだけで、実際にはほとんどの患者さんが良い治療を受けたいと考えています。
実は、保険以外の治療があることを知らないだけなのです。
歯の詰め物や被せ物などは、白くて綺麗なセラミックや、強度が高くて耐久性の良いゴールドなどの自費治療があることはよく知っています。
しかしながら、根管治療に自費の治療があることを知っている人はほとんどいません。
そのため、虫歯の治療の延長である根管治療も、必然的に保険での治療になるのです。
初診時レントゲン。左下の奥歯の歯茎の腫れを主訴に来院。保険の根管治療はこのくらいのレベルであることがほとんど。根管充填が不十分で、根尖から根分岐部にかけて、黒いレントゲン透過像を認める。根管治療の不良による慢性根尖性歯周炎(根尖病巣)と診断し、再根管治療を行うこととした。
ファイルによる作業長(根管の長さ)の測定。根分岐部の骨が溶けているのが良く分かる。
根管充填直後。根尖までしっかりと薬が詰まっているのが分かる。
治療7か月後。オールセラミッククラウンで補綴した。根尖部~根分岐部にかけて存在していた黒いレントゲン透過像は消失し、顕著な骨の再生を認める。
根管治療は、一番最初に行う治療が肝心で、ここで治療が上手くいかないと、その後のやり直しの治療の成功率は大幅に低下します。
歯の治療は、もちろん見た目も大事ですが、それ以上に内部の治療が重要なのです。
いくら高価で良い被せ物を入れても、中から腐ってダメになってしまえば、その被せ物は壊さなくてはならなくなりますし、やがては抜歯になってしまいます。
歯の治療を受ける場合、初診で受診した当日での処置はなるべく控えるのがベストです。(痛みが強く日常生活で支障がある場合は例外です)
初診時は、緊張していたり、歯や歯茎の痛みや腫れがあることから、治療を早く受けなければいけないと思いがちで、冷静な判断が出来ないことが少なくありません。
まずは、自分の歯や歯周組織がどのような状態で、どのような治療が必要なのか、どのような選択肢があるのか、治療法や使用する材料のメリット・デメリットはどうかなど、よく吟味する必要があります。
もちろん、保険の治療を選択するのか、自費での治療を選択するのか、予算はどうするのかなど、決めなければいけないことが沢山あるのです。
まずは、冷静になってよく考えてから治療をお受けになることをお勧めいたします。
治療費:精密根管治療(大臼歯)¥99,000
ファイバーコア¥22,000
セラミッククラウン¥132,000
治療期間:2か月
治療のリスク:根管治療の成功率は100%ではありません。補綴後、きちんとメンテナンスを行わないと、虫歯や歯周病に罹患することがあります。