歯科治療で頻度の高い根管治療。
根管治療は、歯の内部の、もともと神経のあった部分の治療のことを指します。
虫歯で痛みを生じるようになると、この神経を取らなければ痛みが取れません。
したがって、根管治療は虫歯治療の延長線上にあり、歯科治療の中ではとても頻度の高い治療です。
この根管治療は非常に繊細で難しい治療です。
歯の根っこである歯根の中には、もともと神経が入っている根管と呼ばれる管があります。
この根管は非常に細く、そしてしばしば湾曲しているため、きわめて繊細な手技が求められます。
治療に繊細さが欠けると、器具の破折を起こしたり、歯根に穴をあけたり(パーフォレーション)してしまうのです。
また、根管の内部をしっかりと清掃・消毒をし、隙間なく緊密に薬を詰めないと、後々内部で腐敗を起こし、歯根の先端に炎症を生じてしまいます(根尖病巣)。
初診時レントゲン。根管治療をしてクラウンを被せてあるものの、根管治療が正しく行われていないために歯根の先端部の骨が溶け、根尖病巣を生じている(黒い部分)。
根管の中にファイルと呼ばれる器具を挿入し、根管の長さと方向を確認しているところ。歯根の先端で器具がぴったりと止まっていることが分かる。
根管充填後。白いのが根管充填材(薬)。歯根の先端までしっかりと薬が詰まっているのが分かる。根管内部が適切に清掃・消毒され、隙間なく薬が詰められれば、ほとんどの根尖病巣は自然治癒する。抗生剤の内服だけでは、根尖病巣は根本的に治癒はしない。
根管治療5か月後、治療終了時。歯根の先端にあった黒いレントゲン透過像は完全に消失し、根尖病巣は治癒した。
根尖病巣が出来ているということは、被せてあったり、詰めてある歯の内部が腐敗していることを意味しています。
これを放置すると、根尖病巣が大きくなることはもちろん、歯の内部から虫歯が進行していずれ歯がダメになります。
したがって、痛みや歯茎の腫れが無かったとしても、根尖病巣のある歯は根管治療を正しくやり直す必要があるのです。