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上顎前突(下顎遠心咬合)の抜歯矯正の治療例

上顎前突とは、上の歯が下の歯に対して前方に出ている歯列不正です。

つまり、上顎の歯列に対し下顎の歯列が後方にずれている状態を差し、下顎遠心(えんしん;後ろという意味)咬合ともいわれます。

出っ歯は、まさにこの上顎前突、下顎遠心咬合の状態のことです。

上顎前突では、上顎前歯を内側に入れる治療を目標にします。

通常、歯列に隙間は無いことから、上顎前突の場合には小臼歯を便宜抜歯しての矯正治療が最もスタンダードになります。

上顎前突の程度が軽かったり、歯列の後方(奥)にスペースがあれば、矯正用インプラントを使用し、非抜歯での治療が可能な場合もあります。

上顎前突の場合、抜歯か非抜歯可能判断で重要となるのが、側貌(横顔)の美しさの指標となるE-line(エステティックライン)です。

E-lineは、顔を横から見たときに、鼻の先端とオトガイ(下唇の下)の再突出部を結んだ 線のことです。

日本人では、下唇がこのE-line上もしくはやや後方であると最も側貌が美しいと考えられています。

したがって、口腔内、レントゲン、歯列模型、顔貌などを総合的に分析して、抜歯か非抜歯かを最終決定することが重要となります。

 

初診時口腔内。上顎前歯部の凸凹を主訴に来院。側貌は上下口唇がほぼE-line上にあるものの、上顎歯列が下顎歯列に対して前方にあり、2級咬合(下顎遠心咬合、上顎前突)を呈する。上顎前歯部のクラウディング(叢生)が強く、下顎歯列に大きな不正は見られない。非抜歯矯正では上顎前歯が前方に突出して出っ歯になってしまい、美しい側貌が損なわれるケース。上顎の左右第一小臼歯だけを抜歯して矯正治療を行う方針とした。

 

矯正治療後。上顎前歯の凸凹は改善し、左右対称の美しい歯列になった。抜歯矯正において、上下の犬歯の咬合関係は極めて重要となる。上顎はクリアリテーナー(マウスピース)、下顎はFixリテーナー(ワイヤー)で保定を行った。矯正治療後も、美しい口元は保たれている。

 

矯正治療は、見た目の歯並びだけでなく、顔貌の美しさ、舌房の広さ、良好な噛み合わせなどを総合的にバランスの取れた状態にすることが重要と言えるでしょう。

治療に際して、不安なことがあればいつでも遠慮せずに担当の先生にご相談しましょう。

治療期間:1年6か月

治療費:矯正治療基本料 ¥880,000

治療に伴うリスク:治療期間は歯列不正の程度により異なります。矯正治療では歯の移動に伴って歯根吸収が生じることがあります。矯正治療後は、適切に保定を行わなないと、後戻りを起こすことがあります。

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日付:   カテゴリ:コラム, 矯正歯科

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