差し歯や被せ物そのものは、材料としての耐久性はあるものの、時間とともに歯茎の退縮が起こることは避けられません。
この歯肉退縮による審美障害が、差し歯や被せ物のやり替えの理由として非常に多いです。
歯茎が薄い人は歯茎の退縮が起こりやすく、歯茎が厚い人は退縮しにくいといえます。
また、ブラッシング圧の強い人も歯茎が退縮しやすいです。したがって、適切な力加減で歯磨きをすることはとても重要です。
また、歯周病のある人や歯周ポケットが深めの人は、歯茎の高さが不安定なため退縮しやすいので、あらかじめ歯周病治療を行っておく必要があります。
治療前。上の前歯の審美的な改善を希望して来院。上顎前歯4本にメタルセラミッククラウンが装着されている。装着してから時間が経ったためか、歯肉退縮により歯茎との境目が黒くなってきている(ブラックマージン)。色調は透明感があまりなく、やや白さが浮いている。根管治療からやり替えることとした。
ファイバーコア装置時。ファイバーコアを装着するにあたって、再根管治療を行った。歯を被せるにあたっては、根管治療がきちんと行われているかを確認する必要がある。根管治療が不完全なまま被せると、後々歯茎が腫れたりして、せっかく被せた被せ物をやり替える必要性がでてくることがあるので注意が必要。
治療後。E-Max(2ケイ酸リチウム)にて被せ物を製作した。E-Maxは透明感があって歯との色味も合いやすく、歯との適合精度も非常に良い。ブラックマージンも解消し、自然な仕上がりになった。
前歯部の審美性は、歯と歯茎との調和で決まります。
術後は適切なブラッシングを行い、歯周組織の健康の維持を心がけましょう。
治療費:オールセラミッククラウン¥132,000/1歯
治療期間:1か月
治療におけるリスク:正しくブラッシングをしないと虫歯が再発したり、歯肉退縮を起こします。